ミュージアムを活かした地域づくり

《古今伝授の里》 岐阜県郡上市大和町

中世の館跡が発見されるまで、「古今伝授」は眠っていた。
「フィールドミュージアム」としての古今伝授は、文化事業から交流、そして産業へと広がりを見せる。

中世の頃、約230年にわたって東氏が統治していた岐阜県郡上市大和町では、約440年の時を経て、その館跡が発見され、昭和62年に国の名勝指定を受けた。東氏9代常縁は『古今集』の奥儀を伝える「古今伝授」の祖と言われ、連歌師・宗祇へ古今伝授を行った。 東氏館跡庭園周辺には東氏氏神を祀る明建神社、妙見集落、縁の寺跡などが数多く点在しており、ここに東氏記念館、大和文庫、和歌文学館、研修館、レストラン、茶屋などを整備し、一帯を「フィールドミュージアム」とした。 明建神社では常縁の物語を題材にした薪能が上演されるほか、「フィールドミュージアム」では文楽の上演、コンサート、シンポジウム、歌をテーマにした美術展などが運営者と住民らの手により長年開催されている。 これらの文化事業は、交流、そして産業へとつながり、「古今伝授の里」のコンセプトに則った道の駅や温泉施設でのサービス事業や関連する製造事業によって良好な経営を行い、雇用を生み出している。

2012年05月15日(火) update