ミュージアムを活かした地域づくり

《町並み、村並み》 愛媛県内子町

伝統的な町並みも、農村文化を保全する村並みも、「遺産」ではない。
そこに住む人たちの生業とともに、暮らしの営みとともに、守られていくミュージアムの姿がある。

愛媛県内子町では、江戸末期から明治にかけて和紙と木蝋によってもたらされた富により、豪壮な意匠の家屋が建ち並ぶ町並みが形成された。その後、木蝋は衰退したが、昭和57年には八日市護国地区が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。そして昭和60年には、大正初期に建設された歌舞伎劇場「内子座」が復元された。町並み保存にあたっては、住民と行政とが整備費を負担し、住民の日常の暮らしを守りながら伝統的な佇まいの町並み景観保存が進んだ。 そして、商業地である町並みを支える農村部の「村並み保存」運動へと展開していく。石畳地区において、農村文化を保全しながら環境保全型農業の振興を図ることを目的に農村景観の保全運動が進められた。その中心になったのが住民任意の組織である「石畳を思う会」である。町並み保存、村並み保存を通して住民が自らの暮らしや文化的資源を守り、これを活かす運動が続いている。

2012年05月14日(月) update